家庭環境が子供の心身に与えるダメージは凄まじかった。
ずっと体調が悪い、大きな病院でMRIなどどんな検査をしてもこれといった問題は見つからない。
言われたことはいつも同じ、自律神経失調症。
さらに原因不明の腰痛が始まった。毎日2時間目の授業を終える頃には、冷や汗をかくほどの痛みで保健室へ。給食は同じクラスの友達が保健室のベッドまで毎日運んでくれた。
自分が嫌になってしまった。高校進学なんて絶望的。
あまりの成績転落に、家では母からバカ呼ばわりされていた。
進路相談の時期が来ても、私は親に先生との3者面談をしてもらえなかった。
それでも担任の先生は何とか私のためにと考え、ある提案をしてくれた。
私の話から度々登場していた親代わりのような「おじさん、おばさん」に、会って話ができないかと言ってくれたのだ。
こうして私の進路相談は、おじさんおばさんが営業する小さなラーメン屋で行われることになった。お店の休憩時間を使って、お店の4人掛けの席で。おじさんおばさんと私と先生、あたたかい3者面談だった。
今思ってみれば、子供のいないおじさんおばさんにとって、学校の先生と話す機会はなかっただろう。ましてや大事な進路を話し合う面談。一番緊張させてしまったと思う。
先生だって、こんな経験はなかっただろう。ただひたすら生徒のために、私が一番信頼できるおじさんおばさんのところに足を運んでくれたのだ。
自分のことを、こんなに真剣にあたたかく考えてくれる人がいる。私はこの時間を幸せに感じた。
先生は本当にいろいろ尽力してくれた。私の体調や腰痛を考え、通勤距離や方法まで考えて受験する高校を絞ってくれた。田舎の中学校で、学年の先生たちは生徒と共に中学1年から3年まで一緒だった。授業時間が足りていたかは分からない。それでも各教科の先生たちも私に、高校受験に必要な成績をつけてくれたのだと思う。絶望の淵にチャンスをくれたのだ。
たくさんの支えがあって私は高校受験に合格。みんなと一緒に中学を卒業できたのだ。
ありがとうございました、本当にありがとうございました。
あなたには忘れられない担任の先生はいますか?
あなたの側に、あなたのことを思ってくれる人はいますか?
そんな存在に気づくことができたら、感謝を忘れないでほしい。
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